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おもいで話
一日中すごい雨風。

こういう日や、寒い冬の夜になると
思い出すお話。



『しあわせな一皿』


今夜は雪になるかもしれない。

仕事から帰ると、ほとんど休むまもなく
家族を連れて出かける。

混雑をさけて、まだ雨や雪が降らないうちに
車を走らせる。もうじき0時だ。
最初は大きな声で歌ったりしていた子どもたちも
もうぐっすり眠っている。

高速のインターを下りる。

真っ暗で、しんとしている夜道。
周りの木々もうっそうとしてる。
もうすぐ着く頃。

あの砂利の小道を入れば到着だ。

ざざざざざっー。

「おぅ、着いたよ!」
家族に声をかけると同時に
目の前の家のドアが開く。

「いらっしゃーい!おつかれさまー。
さぁ、入って入って。寒かったでしょう?
降られなくてよかったねー。」

子どもたちは眠い目をこすりながら
「おじゃましまーす」と口々に言い
家に入っていく。

「うわぁ、いいにおーい」

そんな声も聞こえる。

車から荷物を降ろし、玄関に足を踏み入れる。

いつもの家の木のいい香り。
それから、美味しそうな匂い。

「遠いところおつかれさまー」

ストーブの上の鍋が
ことことと煮えている。

「みんなあったかいのちょっとお腹に入れてから
休んでね」

そういってふるまわれたのは
『じゃがいもとたまねぎのスープ』
だった。

塩味で、素材の優しさそのままの
体の芯から温まるスープだった。
昔よくお袋が作ってくれた。

「あー、ほんとうまいな。
姉貴、もうちょっともらおうかな。」

「どうぞどうぞ。ドライバーおつかれさま。
まだたくさんあるからどんどん食べて!」

深夜0時半。
満腹になったら仕事と運転の疲労が訪れ
一気に眠くなった。

よく干してある布団。
今夜も気持ちよく眠れそうだ。


--- END---


これは、いつも登場する山梨のおば(父姉)の家に
家族5人で遊びに行ったとき、もし自分が父だったら
こんな感じだったかなぁと思って書いてみた。
これは15年くらい前のことかもしれない。

おばが『おいしいもの』を準備して
私たちを待ってくれていたのは
もちろんこのときだけではないのだけれど
この時のストーブの上のスープが
とってもとっても美味しそうで
絵本の中の一ページのように
今でも心に焼き付いてるのだ。
匂いと感覚つきの絵本のように・・・。
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by mpana | 2006-10-06 20:57 | つーくん ・ 家族
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